ポーラちかこ文化一考
音楽家としては
『 耳 』についてのお話しは
当然多くなるが
美術家の方だと『 目 』のお話し
ということになるのだろうか。
また 筆者は
『おいしいもの好き☆』な為
『 味覚 』の話しもよく在るが
料理の場合『舌』だけではなく
『 鼻 』『 目 』も同時進行で使って愉しむ。
思い返せば
料理中は『 耳 』もおおいに使う。
ちなみに
本日の筆者の夕食では
蒸し上がった野菜を
指で少し押してたしかめ
『 触覚』も確実に使った。
料理は
直接、五感すべてで愉しむことを
あらためて感じて
いつも感心する。
__________________
さて
『 鼻 』『 嗅覚 』の話しになるが
万葉植物から採った香りには
長年 魅了されている筆者である。
その代表的なものが
他ならぬ『 ベンゾイン 』という
植物精油の香りである。
☆
筆者の手作りフレッシュナーには
度々登場する精油だが
粘度が高いため
使い残りをそのままにし
何度もダメにしてしまった経験がある。
ベンゾインは
とくに
夏の香りには欠かせない
お気に入りの精油となっている。
強い香りなため
ほんの微量をブレンドするのがカギ。
フランキンセンス(乳香)、
ミルラ、ゼラニウム、
などもそうであるが
濃厚で粘度の高い精油は
使い過ぎないように注意したい。
ベンゾインは『 安息香 』
という名称で
香道でも親しまれるものだが
バニラのような香りが特徴の
甘く、
どこか神聖な香りだ。
☆
平安チックでエレガントな香りである。
ベルガモットやラベンダーなどと
合わせてブレンドすると
いにしえエレガントな
夏の香りになる。
そのもとは
エゴノキという植物の
樹脂の固まりであるが
エゴノキと言えば
実に清らかで
可憐な花を咲かせる植物だ。
白くかわいらしい小さな花を
たくさんの釣り鐘のように
垂らして咲かせるその姿には
出会えばいつも心を動かされる。
まるで
生まれてはじめて元禄の着物に
袖を通す
あどけない少女の髪に
ちらちらと揺れる
かんざしのようだ。
☆
このエゴノキの花が咲けば
和歌が次々に詠えるほどに
やさしく語りかけてくれる
夏の花だ。
____________
生活の中での
香りの存在は大きいもの。
例えば お盆。
お気に入りの香を焚くだけで
自身も先祖も
癒されそうな空間が出現する。
初夏には緑のお茶の香り。
寒い冬には
オレンジや
シナモン・クローブの香りで暖まる。
生活に在る香りが
私たちの「気持ち」に作用する役割は
実に大きいと感じる。
☆
香道では
『 香りを嗅ぐ 』ではなく
『 香りを聴く 』
という言葉で形容される。
香道には
静けさの中であらたまり
まさに
香りのひとつひとつに
丁寧に耳を澄まして行く
という
特別な空間の
感覚的に
研ぎすまされた
うっとりとした
時間が流れる
静寂の楽しみがある。
日本人の私たちは
その歴史を経て
何と優雅な
文化・習慣・を持つものかと
幾度もあらためて驚く。
音楽を聴く
香りを聴く
筆者にとっては
どちらも
音楽である。
___ポーラちかこ:音楽家
(認定アロマコーディネーター)___
mintmint
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