ポーラちかこ文化一考・

元旦のお煮しめ・

 

日常は
なかなか丁寧にお料理をする
ゆったりとした時間がない日々だが

毎年末`お正月のお煮しめ`の準備だけは

 

心静かに 特別に
丁寧な気持ちで
作ることにしている。

 

 

ひとつひとつの野菜を
慈しむようにこしらえ

農作物を天に感謝しつつ

時間をかけて

一種類・一種類・
形をととのえて

 

丁寧にとった出汁でゆっくりと煮る。

 

 

この1年を有り難く想いふりかえり

ほっと安らぎを覚える時間でもある。

 

 

そんな年の瀬に

必ず本棚から手にとる
一冊の料理本がある。

 

とくに
レシピを見る必要があって
手にとるわけでは
ないのに

 

この本の著者である
辰己芳子先生の「お料理と言葉」に
あらたまってふれたくて

 

毎年くりかえし、くりかえし拝読する。

 

____________________
「さ、めしあがれ」「いただきます」
私達は世界に類のない深意にみちた表現で
食事を潔めてはいただいています。
by 辰己芳子氏
____________________

 

御年、間もなく
100歳に向かわれようかという
料理研究家・辰己芳子先生のお書きになった
「さ、めしあがれ」(byマガジンハウス)より。

 

 

食事を潔めてはいただく・
という言葉には
この本をひらく度に はっとさせられる。

 

 

「食べる」ということに向ける
自身の心を

あらためて正すように

 

 

辰己先生の
品格と温もりの漂うお料理と
それらに添えられた
ひとこと、ひとことを

 

お正月のお煮しめづくりで
台所に立つ前に

 

先ず読ませていただいている
私である。

 

 

先生のおっしゃる
『基本的なことは
何気ない平凡なことの中にある』
という大切な一節。

 

 

*葉が傷つくような洗い方はしない。

 

*青菜は茎と葉を異質のものとして扱う。

 

など。

 

 

辰己先生の料理の本を読んでいると
先の一節も
料理の基本としてだけでなく

 

何か人生の基本を准えているようにも
伝わってくる。

 

 

いつも心に留めているつもりでも

 

いつの間にか そこから
距離を置いてしまっている自分に
気づくことがある。

 

料理においても
またその他においても。

 

 

原点をたしかめ正す
年の初め`お正月`を目前に

 

いつもこのことを思い出し

 

辰己先生の本を手にとって
あらためて胸に留める毎年末なのである。

 

すると

 

 

`元旦の祝膳のための
お煮しめ`を
作るときの

ひとつひとつの野菜の扱いが

 

自ずと丁寧になっていることに気づく。

 

 

人参や里芋の
かわいらしさを感じながら
丁寧に面取りをしていると

 

それだけで
必ずおいしくなってくれそうな
気がしてくる。

 

 

筍や蓮根のひとかけらにも

 

これほどの愛情と感謝を持てるとは。

辰己先生この著書にある数々の料理で曰く
__________________________
「必ずおいしくできるように書いています」

「作って食べてみてください」

「そして体の変化を実感してみてください」。
__________________________
とのこと。

本年元旦も

 

大晦日に丁寧にこしらえたお煮しめで

お重に描いた
実り豊かな野山の景色を
しずかに楽しみながら

心あらたまり元旦のお神酒を供えた。

 

そして

新年の五穀豊穣を祈願する。

 

 

ポーラちかこ
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『 食べることはいのちの刷新 』☆ポーラちかこ文化一考☆ from 辰己芳子氏92才の今これだけはお伝えしたいこと・

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