こんにちは♪

ピアノ教室Farbe 木村彩乃です。

 

 

 

8月のコンサートプログラムから今回ご紹介するのは、

クロード・ドビュッシー作曲『月の光』です。

 

 

 

 

 

そなたの心はけざやかな景色のようだ

そこに見慣れぬ仮面して

仮面舞踏(ベルガマスク)のかえるさを

歌いさざめいて人ら行くけれど

彼らの心とてさして陽気ではないらしい

 

誇らしい恋の歌

思いのままの世のなかを鼻歌にうたってはいるが

どうやら彼らとて

自分たちを幸福と思ってはいないらしい

おりしも彼らの歌声は月の光に溶け、消える

 

枝の小鳥を夢へといざない

大理石の水盤に姿よく立ちあがる

噴水の滴の露を歓びの極みに悶え泣きさせる

かなしくも身にしみる月の光に溶け、消える

 

【雅なる宴】より『月の光』

ポール・ヴェルレーヌ(堀口大學訳)

 

 

 

 

ドビュッシーのピアノ作品の中で最も有名なこの曲は、フランスの詩人、ポール・ヴェルレーヌの詩集『雅(みやび)なる宴』の中の、同名の詩からインスピレーションを得て作曲されたと言われています。

 

 

雅なる宴…とは何かと言いますと、18世紀の宮廷で行われていた貴族の宴のことです。

 

運河に贅を凝らした舟を浮かべて、そこで様々な余興が行われ、イタリア喜劇の役者さんたちが、即興仮面劇などで場を盛り上げたそうです。

 

 

 

華やかな宴の中で、仮面を付け、仮装舞踏会に参加する彼ら彼女ら。

この詩は、けれども、一見楽しそうな人々が、実は仮面の下に秘めた悲しみや虚しさを持っているという、切ない様子をうたったものなのです。

 

 

 

『月の光』は、『ベルガマスク組曲』という、ドビュッシー初期の代表的な作品の中の1曲となっています。

 

 

詩を知るまで、この曲に対する私のイメージは、朧月のような、少し黄色くかすんであたたかみのある月の光に優しく包まれている

……たったそれだけの情景でした。貧弱…

 

 

ですが、全然違いました

 

 

というより、全く別もの…

 

 

そう思って弾いてみると、何かをあきらめたような、どことなく寂しくもの悲しい響きが聴こえてきます。

 

けれどそこには同時に、その気持ちを慰めてくれるような、やさしい雰囲気も感じられるのです。

 

 

 

明るさと暗さ、喜びと悲しみ…

 

 

よく知る名曲には、その素敵な題名からは想像できなかった、人生の悲哀を表す奥深い世界が、広がっています。

 

 

 

 

 

 

 

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