ここで申し上げる
「よい弾き方」とは
音楽的に演奏するために
無理のない有効な弾き方のことです。
ピアノ弾きにとって「まむし指」は致命傷といってもよいくらい
必ずなおさなくてはならない、
実にめんどうな 指の使い方における「よくないクセ」です。
ごくシンプルな単旋律さえ
弾くのが本当に、たいへんになってしまう形です。
スムースにピアノを弾く我々には
見ていてたいへん痛々しく感じられる形でもあります。
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♦︎「まむし指」とは
指の関節が凹んでしまって弾く形のこと。
(指が外側へそりかえった形になる状態)
近年、とくに、
このようなまむし指(主に親指)で、
あるいはそれに近い形で
あまりにも弾きにくそうに
ピアノの鍵盤を弾く小学生の子供たちが
とても増えています。
また 幼児から当レッスンで
ピアノ導入レッスンをしっかり受けて来て
とても自然で「よい形」でたいへん「音楽的に」
きれいな音で弾いていたはずの子が
小学生になってある日突然、
まむし指で弾きはじめる
というような、、実に驚くような
不思議な事も稀にあるのが近年のレッスンの現状です。
こうなると途端に音色が変わり
音楽性は半減します。
このような不思議を目の当たりにするのは
原因がレッスンにはないことが明らかなため
それまでていねいに指導し
子供も正しい形で弾いていることを
常に確認して来ている講師としては
*一から、少しずつ手しおにかけて育てて来ている草花を
一瞬にして 目前で突然へし折られるような、、
そんなショッキングな瞬間です。
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☆ ☆ ☆ ☆
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また手首についても
下記のような傾向の子供たちが最近、
とても多く見られます。
♦︎『手首』を、1音1音ガンガン下げながら
♦︎まるで「手首で鍵盤を押して弾いている」
♦︎まるで「鍵盤にぶらさがるようにして弾いている』
というような、、弾き方の状態の子供たちです。
とくに小学生になってから
当レッスンに訪れる子供たちには
かなり多くみられる傾向です。
長年、子供たちへのピアノ指導に携わって来ている
筆者にとってこれは大変、驚くべき
近年の不思議な現象であります。
また他の専門ピアノ講師も
しばしば頭を抱える問題でもあるようです。
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☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆
<まむし指の子供のレッスン>
まむし指や手首の使い方については
やはりその都度、講師が指摘する必要があるのは
もちろんのことですが
ピアノ講師(器楽演奏)としては
その子の先々を考え
本人に
「こうやって弾いてはやがて
難しくて弾けなくなるからなおしましょう。」
という意識を、
先ずは
どうしても持たせてあげなければなりません。
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なぜなら近い将来、必ず
弾けなくなってしまうという
辛い壁に、本人が当たるからです。
これが原因でピアノ自体があるいは音楽自体が
いやになってしまうこともあるからです。
あまりにもひどいまむし指については
完全に矯正するには
それなりの時間がかかりますが
本人が分かって意識できているのか
または全く気づいていないのかによって
状況もかなりちがって来ます。
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そもそもまむし指に気づけないピアノ講師は
先ず問題外として。
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何度も何度もその都度、講師が根気よく
ていねいに指摘してあげ
よく子供が納得できるように
分かりやすく弾いてみせることなどで
子供本人が意識できることは
最も大切だと考えます。
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初段階から「音量」を出させようと
強く弾かせることをさせてしまうのも
まむし指になる事を助長します。
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<小学校の鍵盤指導>
小学校の低学年で行なわれることの多い
鍵盤ハーモニカの指導には
小学校の音楽担当教諭が携わりますが
楽器演奏指導と言えども多くの場合
音大器楽学科卒ではない教員、
また、鍵盤楽器専門ではない教員が
担当することになります。
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しかし
子供たちへの鍵盤ハーモニカ指導
これはれっきとした「鍵盤導入」であり
責務の重い仕事です。
兼任教諭が行なう、などを考えると、、
何とも指導の悩みや苦労の多き時間であろうかと
多くの子供たちの鍵盤導入期を
長年個人レッスンで指導して来ている者として
察するに余りがあります。
そもそも我々のような鍵盤器楽の専門であってさえ
鍵盤楽器の基礎を幼い子供たちに指導する
◎『鍵盤導入』という段階は
なかなか智慧と工夫の要る期間であり
ピアノレッスンでは
最も気を使う重要な部分でもあります。
最初につけてしまったクセは
なかなかなおらないからです。
たかが鍵盤ながら
はじめて親しむ音階とメロディー、
子供たちの音楽性の根幹を司る
重要な部分でもあり 指導講師においては
責任重大なものとも言えます。
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低学年のまだまだふにゃふにゃの指で
鍵盤基礎のないまま
いきなり複数の指を
1本ずつバラバラにして使わせはじめ
手の形を全く意識させずに弾かせる
鍵盤指導の類いは
◎上記に述べた
「まむし指」や「手首で押し込む」などの
鍵盤演奏にかえってマイナスとなるような
無理のある形を招いてしまいやすい
状況にあります。
音楽的にも、また身体的にも
極度に無理のある手指の使い方を
子供にさせることにもなってしまいます。
このように無理のある運びで
無理に鍵盤を弾かせてしまうと、
肝心のメロディーは決してスムースには流れず
◎音楽的に演奏できるようにもなりません。
それどころか
むしろ鍵盤演奏が苦手な子になってしまい
音楽嫌い、鍵盤嫌いにさせてしまうことも
あるからこそ
◎大切に考えなくてはならない点です。
またもうひとつ大切なこととして
鍵盤演奏=音符どおりにキーを押すこと
ではなく
鍵盤演奏=音楽表現
とならなければ本末転倒となります。
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たとえば幼児の時期から『ピアノ』を
専門にていねいにお稽古していた子であっても
小学校に入り鍵盤ハーモニカが始まり
ある日極端におかしな弾き方をすることがある、
子供たちから直接聴くところによると
『手首を下ろして手をダランとさせて
ぐいぐい腕で押して、楽に弾きなさい』と
指導をされているという子が何人もいる、
といった状況が度々あります。
小学校教諭も
限られた条件と時間のなかで
カリキュラムをこなすには
そうするしかないのが現実でしょう。
しかしこのような無理のある手指の使い方を
子供たちにさせてしまうことで
結果的に
ピアノ演奏や音楽表現に
支障が出て来てしまう子が多くいるのも
たしかな現状です。
急激な弾き方の変化に講師が驚き
鍵盤ハーモニカの授業があったのはいつ?
と聴くと たいがいの場合
「今日、いっぱいやって来た!」とか
「昨日、やったよ!」
「今、新しい曲、いっぱい練習してる!」
などジャストタイミングのお話しが
子供達からあります。
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<鍵盤ハーモニカという楽器>
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鍵盤ハーモニカは誰でも親しみやすく、
子供も早くから音階に身近に接する事ができる、
という面、また適切なタンギングで
メロディーフレーズをよく感じとらせる事ができる
という面では大変便利ですてきな楽器ですが
奥行きが約10センチ程度
ということを考えると
弾く時に手首が鍵盤の外(手前の部分)に
はみ出るのは
もとよりごくごく想定内です。
(手前のほうで弾くとなおさらです。)
◎しかし、このはみ出た手首を
子供たちはいったいどうしているのか?
♦︎これが問題なのですが
ほとんどの場合 グイと下げて
ダランと鍵盤にぶらさがるようにしてしまうのです。
すると
それに連動して
♦︎「腰」は後ろにひいて曲がり
♦︎「背中」もそれに連動して曲がり
極端に悪い姿勢になります。
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支えのない姿勢では
鍵盤そのものに気持ちが乗らないのはもちろん
メロディーにも、音楽そのものにも、
気持ちが乗りにくくなるものであり
「音楽」を 単なる「音の集合体」と
とらえてしまうことが
もしもあるならば 何と悲しいことでしょう。
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これは音楽の世界だけの話しではありません。
このような支えのない状態を、昔からこの国、日本では
◎「本腰が入っていない」と言います。
◎『へっぴり腰』とも言います。.
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♦︎何でも、本腰を入れなければ
芯(魂)がないも同然。
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♦︎「腰をたてる」は器楽演奏においても大基本です。
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例えば
アコースティックピアノの場合は
このような支えがなければ
肝心のハンマーを理想的に動かすことができず
『音がきれいに鳴らない』のは言うまでもありません。
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☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆
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♦︎『手前にはみ出た手首・腕』を
どのようにするのが
自然で美しい音楽を奏でることに有効なのか。
◎鍵盤ハーモニカは
弾く人にこの点についての正しい指導が
必要不可欠な楽器でもあるようです。
鍵盤ハーモニカは小さいですが
決して おもちゃ、ではなく
ライブやセッションなどでもその気になれば
プロがじゅうぶんに使える楽器でもあります。
小学校の音楽指導要項に沿う流れで
あるいは幼稚園や保育園で
鍵盤ハーモニカを弾かせる場合
奥行きが短く鍵盤幅も小さい
鍵盤ハーモニカを
子供たちの手指でどのように
自然によい形で弾かせるのか
このような
『鍵盤楽器』としてとらえた上での
しっかりとした指導については
今後のたいそうな課題であるかもしれません。
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鍵盤では基本的に
なるべく手前ではなく
「奥のほうで弾く」イメージは大切です。
♦︎例えばピアノの「弦」を地面と水平にはった場合
前方へ長く伸びています。(これが基の形)
弾く時の気持ちもその弦といっしょに
やや奥へ。やや前方へ。やや上へ。
<ピアノの正しい弾き方・手首・指>
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手首は下げずに
かといって極端に上げもせずに
なるべく平らに近くして弾くのが
正しいピアノの弾き方です。
手首をぐるぐるまわしたり、、というような
無駄な動きをなるべくなくす事も
重要です。
♦︎音楽を音楽的に
♦︎音色を美しく奏でるために
♦︎身体的に無理がかからない為に
最も有効な弾き方です。
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指は
その指の「付け根」のコブを
常にへこまないようにして
親指も自然にまるめるようにします。
♦︎♦︎♦︎親指と人さし指の間には
「トンネル」のようなまあるい穴が
いつもふっくらできてないと
手全体がグシャッとつぶれます。
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演奏者は腰をたて・背中を支柱にして・
身体全体をしっかり支え
これが 定着した上で
はじめて
肩・腕・ひじ・手首などの
『脱力』という次の段階に入ります。
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最初にきちんとした支えを意識し
「フォーム」を作ることからスタートするのは
ゴルフや卓球、テニスやスキー、
スポーツでも、また舞踊などでも同じです。
音楽以外の他の分野とも同じように
鍵盤を弾くということにおいても
正しいフォームを丁寧に
伝授してあげることが
ピアノレッスンの実技面では
先ずは第一に大切なことになります。
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「形」というものは最初は多少窮屈に感じられるのが
人の世の常ですが
正しく習えば
それが有効であることを
自身でじゅうぶんに感じられるため
それがごく基本となり
「窮屈」と感じられなくなるタイミングがあります。
そして 人は
形と支えがしっかりあればこそ
◎安心して無駄な力を
抜くことができるものなのです。
ぬくべきは無駄な力であり
何事も「支え」はしっかりとしなければ
なかなか本物にはなりません。
♦︎「形」は形のためならず。です。
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演奏の『脱力』とは
無駄な力の脱力のことであり
必要な『支え』の力は
実は想像のつかないような見えない部分で
ちゃんと働いています。
♦︎長年の稽古を経るとき
人にはそれがよく感じられるようになるものです。
お稽古で 講師から伝授していただき
継続して習得すべき最も尊いことは
このような
真髄の部分であります。
☆ ☆ ☆
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手がつぶれてしまえば、
身体が支えられていなければ、
さまざまな曲のメロディーは
ゆたかに美しく奏でられません。
それが
鍵盤器楽です。
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MintMInt___
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